過去のコラム |
2008.03/02 押し目買い候補銘柄スクリーニング |
今週の日経平均は調整ムードに支配されそうな気配ですが、こういうときは押し目買いのチャンスでもあります。3月決算の下方修正、円高、資源高など、さらに物色銘柄のふるい分けが進むと考えられるため、銘柄の選定は非常に重要です。 物色の特徴を見極めるため、1月22日の安値~2月27日の高値において、 ・日経225採用銘柄 ・PERが15倍以下 ・配当利回りが1%以上 以上の条件を満たす上昇率TOP10銘柄をスクリーニングしてみました。 |
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ご覧の通り、鉱業・商社・海運の上昇率の高さが目立ちます。3月に入っても、これらの銘柄の優位性は保たれるでしょう。 皆さんの押し目買いの一助となれば幸いです。 |
2008.02/24 好業績・高配当銘柄スクリーニング |
日経平均採用銘柄の平均配当利回りが、長期金利を上回る状態が続いています。過去を振り返ってみも、このような状態の時期はあまり見当たりません。 配当利回りといえば電力株、というのが従来の常識ですが、東京電力の配当利回り2.4%を上回る優良銘柄は数多く存在します。3月末の決算に向けた配当取りが期待できることはもちろんですが、それらの銘柄を数年後に振り返ってみれば、今現在が超割安であったことが明らかになるかもしれません。 そこで、配当利回りに注目しながら銘柄をスクリーニングしてみました。第三四半期業績発表済みの3月決算銘柄で、今期2桁以上経常増益し、ROEが10%以上、配当利回りが2.5%以上のものから、比較的値動きがいいものを選んでいます。 |
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2008.02/17 PERから見た日本市場の割安度 | |
現在、日経平均採用銘柄の平均予想PERは15.3倍です。過去1年の動きを見てみると、昨年2月の21.4倍から下げ続けていることがわかります。それ以前の5年間では、最低は16倍台でした。だいたい17倍あたりでボトムを付けることが多かったようです。最高値に関しては、企業業績が回復してきた2004年5月以降、22倍~23倍台でピークをつけています。 今後しばらく企業業績が横ばいになるとしても、17倍台への復帰はじゅうぶんにあり得るものと思われます。そのとき日経平均は、おそらく16000円前後になっているでしょう。 仮に来期、10%の増益が見込めるとするなら、17500円までの回復も期待できないことではありません。 |
2008.02/11 長期投資向け大化け期待銘柄 |
以下の条件で選定してみました。やはり不動産業が多いようです。 (東証1部・2部で今期を含む5期連続ROE10.0%以上・連結PBR1.0以下・配当率2.0%以上) |
(連結PBRの低い順)
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長期投資向けバリュー銘柄 (日経225採用銘柄で、今期を含む5期連続ROE10.0%以上・連結PBR1.5以下・配当率1.7%以上) |
(連結PBRの低い順)
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2008.01/02 安心12銘柄の成績 | |
昨年の安心12銘柄の平均上昇率は-16.5%でした。日経平均の上昇率が-11.1%だったことを見ても、とても満足できる結果ではありません。1年前に推奨した銘柄は、ことごとくマイナスとなってしまいました。 しかし、ここ2年間で見ると、平均上昇率は+4.7%となっており、日経平均の-5.0%を上回っています。昨年の低水準には、前年の大幅上昇の反動という側面もあるようです。また、日経平均採用銘柄の平均ROEは10.6%、安心12銘柄の平均ROEは12.4%なので、日経平均と比べた12銘柄の上昇率は、ここ3年で見るとROEに見合った値上がり率ということにもなります。 今年は、ここ3年間の上昇率がROEに見合っておらず、割安度が高いホンダ・リコー・東京エレクトロンに妙味があるものと思われます。 |
コード | 銘柄 | ROE | PBR | 割安度 | 1年間 値上率 | 2年間 値上率 | 3年間 値上率 |
3260 | 7&iHD | 7.1 | 1.6 | 1.04 | -11.9% | -35.4% | |
7020 | 信越化学 | 12.7 | 2.1 | 1.12 | -11.9% | 12.0% | 66.4% |
6570 | 武田薬品 | 14.4 | 2.1 | 1.20 | -19.6% | 3.0% | 28.6% |
3180 | アドテスト | 9.8 | 1.9 | 1.02 | -53.4% | -46.5% | 26.0% |
6040 | トヨタ自 | 11.7 | 1.5 | 1.45 | -24.1% | -1.3% | 45.5% |
3750 | ホンダ | 12.8 | 1.4 | 1.69 | -20.2% | 11.4% | 41.2% |
3370 | スズキ | 8.5 | 1.9 | 0.93 | 0.3% | 54.2% | 81.6% |
4620 | オリンパス | 15.6 | 3.3 | 0.85 | 23.5% | 49.0% | 115.4% |
5200 | キヤノン | 14.9 | 2.1 | 1.28 | -22.4% | 13.0% | 40.8% |
2065 | リコー | 9.9 | 1.3 | 1.49 | -15.0% | 0.0% | 4.7% |
6860 | 東京エレク | 19.0 | 2.3 | 1.49 | -26.9% | -7.4% | 12.6% |
12銘柄平均 | 12.4 | -16.5% | 4.7% | 41.1% | |||
日経平均 | 10.6 | -11.0% | -5.0% | 34.0% |
2007.12/23 サブプライム問題は終結したか(その2) | |
市場安定化策としての信用収縮防止策にとって、金利引下げと金融機関の自己資本率の維持は、車の両輪のようなものです。最近の金融機関の業績発表を見る限り、自己資本比率に影響するほどの損失が出た際は同時に資本注入の発表も行われており、一時のようなパニック的下落は見られなくなってきました。 一方、株価は最終的には企業業績に連動するものなので、結局はサブプライム問題が世界経済の成長に悪影響を及ぼすか否かが大きな焦点となります(悪影響があるとすれば、米国の住宅価格の下落が止まらない限り事態は収拾しないでしょう)。 現在、市場はそのことを見極めんとする段階にあるのだと思われます。OECDは来年の米国のGDP伸び率を下方修正していますが、これが日本・EUや中国を始めとする新興国のGDP伸び率に影響するかどうか、要注目です。 ちなみに、現段階のOECDによる2008年伸び率予測値は、米国2.0%、日本1.6%、OECD Total2.3%となっています。 |
2007.12/02 サブプライム問題は終結したか(その1) | |||||||
先週、米国市場はアブダビ投資庁のシティへの出資やFRBによる利下げ期待から上昇しました。しかし、株価はこれで底を打ったと考えるのは早計です。サブプライム問題の終結を確信するためには、以下のような動きを待たねばなりません。
以上3つのうち、少なくとも2つ以上の動きが現れたときこそ、株価は急反発するものと思われます。 |
2007.10/14 日経平均と乖離率のセオリー | |
Sunday Nikkei α内の、資産運用についてのコラムで、ためになりそうな二つのセオリーについての記事を見つけました。 ひとつは、日経平均の25日移動平均線と株価の乖離率が7%以上になると、半月後に6~7割の確率で反転するというものです。5%では確率は五分五分となり、顕著ではないそうです。最近の例を探してみたところ、-7%に乖離した日は8月16日でした。8月17日が最安値日となっていることから、今回も有効であったことがわかります。 もうひとつは、テクニカルアナリスト川口一晃氏が提唱する「IPゾーン」という投資方法で、 ・株価が短期の移動平均線より上 ・長期の移動平均線より下 ・短期線が上向いている の全てを満たした場合、その後上昇する確率が高いというものです。こちらでも最近の例を探してみたところ、日足では9月21日から数日間が条件に合致しているので、とてもいいタイミングだといえます。ちなみに、週足では短期線が上向いていないため、まだ該当していません。 いずれも有効なセオリーだと思われるので、条件に合致した場合は、「短期的な今後の見通し」でお知らせしたいと思います。 |
2007.09/23 日本市場の戻りの鈍さの原因を探る |
日本市場の売買の60%は外国人によるものです。外国人が買い越しであるか売り越しであるかが株価を決めていると言っても過言ではありません。一方、日経225はNASDAQと連動すると言われていますが、両者の戻り具合の差は、長期のトレンドラインである200日移動平均線と価格の乖離率からはかることができます。 そこで、外国人の売買動向と各市場の200日線との乖離率を7月から個別に見てみると、以下のようになります。 |
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外国人が大きく売り越しに転じたのは7月4週と9月2週です。乖離率の差にも、外国人売りが大きく影響していることは明らかです。この売りがサブプライム問題の影響によるものであることは間違いありません。しかし、日本市場だけの戻りが鈍い理由としては不十分です。 日本独自の原因を探ってみましょう。上記のタイミングは、前者が参議院選挙での自民党の大敗のタイミング、後者が安倍首相辞任のタイミングと重なります。外国人は、日本人が考える以上に、政局の混乱と改革後退を嫌っているようです。 また、アメリカの投資ファンドであるスティール・パートナーズによるブルドッグソース買収防衛策の差し止め請求が東京地裁で却下されたことも、原因のひとつとして挙げることができます。この判決のため、外国ファンドのM&A意欲が減退した可能性は大いにあります。 さらに、個人融資の上限金利問題による金融機関株の外国人売りや、半導体関連など、外国人持ち株比率の高い銘柄に対する外資系ファンドの換金売りの影響なども、考えられる原因のひとつです。 | ||
2007.09/16 配当利回りに注目した投資方法(負け犬ポートフォリオ)改訂版 |
日本市場も、そろそろ低迷を脱する可能性が出てきました。中長期投資には絶好のタイミングだといえます。そこで、日経225版の、配当利回りに注目した投資方法(負け犬ポートフォリオ)を見直しました。是非参考になさってください。 (選定条件:配当利回りが2%以上・ROEが10%以上・経常伸び率がプラス・割安指数が1.0以上・下降トレンドの金融株は除く) |
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2007.07/15 今こそ、長期投資に目を向けるとき | |
ドイツ証券副会長である武者陵司氏は、著書『新帝国主義論』の中で、 「先進国の多国籍企業は、中国やインドの極端に安価な労働力を活用することで、超過利潤を獲得する一方、情報化革命と低賃金労働力の活用で投資額を節約できるようになった。企業が設備投資をキャッシュフロー以下に留めるようになり、世界的に大幅な資金余剰が発生していることが、金利を引き下げている主因である可能性は高い。今や『地球帝国』の成立下にあって、各国経済はクローズドシステムからオープンシステムに移行しており、先進国には多国籍企業を通して、チープレーバー・ギフトという付加価値が海外から与えられ続けた結果、2003年以降、 1.労働生産性の上昇 2.資本生産性(ROE・ROA)の上昇 3.利潤率の上昇 4.一般利子率の低下 が同時進行しており、この状況は今後も長く続く」 と述べています。これを裏付けるデータとして、米国の株価の割安度を示すイールドスプレッドは、9.11以降、株価が1.8倍になっているにも拘わらず、マイナスのままであるという事実が挙げられます。すなわち先進国では、好景気・好業績・株高となっていても、賃金はさほど上昇せずインフレも起こっていないということです。この状況は、今後も長期にわたって変化はないと思われます。 日本の場合、債権国でありながら、国内投資が伸びないために海外へ資金が流れる構造となっており、結果、日本の多国籍企業はチープレーバー・ギフトだけでなく円安というギフトも与えられています。にも拘らず、日本市場は機関投資家と個人投資家の消極性のため、割安に放置されているのです。長期投資として考えると、日本市場に上場されている多国籍企業は現在バーゲンセール状態であり、絶好の投資対象だと言えるのではないでしょうか。 |
2007.06/25 日経新聞1面のコラム『成長を考える』について | |
先日22日、東京の日銀本店内。「日本のメガバンクは買収対象にならない」。みずほフィナンシャルグループの前田社長は07/03期の決算発表で説明。「日本の銀行は社会インフラで、大幅には儲からない。海外の企業が買収したら自己資本利益率(ROE)が下がるんじゃないか」 世界の生産基地、中国の存在が巨大となり、日本は製造業への依存度を減らす宿命にある。知識集約型のサービス産業への転換が避けられず、中でも金融業は最先端を走るべき存在だが、前田社長の発言は資産効率などで欧米金融機関に劣ることを自己告白したに等しい。日本総合研究所、翁理事は「メガバンクは国内市場の寡占に安住している」と見る。 歴史に目を転じてみよう。繁栄した国が居心地の良さに安住して変革を怠り、没落の道を歩んだ例は枚挙に暇がない。変革を逃せば反映を逸する。…… (以上抜粋) 自社のROEの低さを社会(公共性)のせいにするのはいただけません。こういった意識を持つ経営者の多さが、日本株式市場の地盤沈下の一因となっているのです。今後も、グローバル化、IT化、サービス化に遅れをとる企業は衰退の一途を辿ることになると思われます。特に日本は人口減少下にあるわけですから、国内だけでは成長が限定的になるのは道理です。やはり、世界的に活躍している企業に投資することが、もっとも堅実な手だと言えるのではないでしょうか。 外国人投資家はやはり、ROEを重視する傾向にあります。銘柄選定の際は、常に忘れずにおきたいところです。 |
2007.05/27 配当利回りに注目した投資方法(負け犬ポートフォリオ)日経225版 |
3月末決算発表もほぼ出揃いました。 04/08に言及いたしました、日経225採用銘柄の配当利回りランキングを以下に掲載します。 (その他の条件:ROEが9%以上・経常伸び率が-2%以上・割安指数が1.0以上) |
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2007.05/08 世界の市場が年初来高値を更新している中、 日本市場はなぜ低迷しているのか? | |
4月の投資主体別売買動向を見ると、主に買い越しているのは外国人であり、売り越しているのは個人と信託銀行であるという結果が読み取れます。寄り付き前の外国人注文の動向からして、売っているのは外国人であるとばかり考えていましたが、実は日本の個人と年金と思われる売りこそが犯人だったようです。日本企業の実力を冷静に評価しているのは外国人であり、日本人自身はそれほどでもないということでしょう。 日本の個人には1500兆円という膨大な金融資産があります。東証の時価総額は550兆円ですから、約30%でそのほとんどを買うことができるほどの金額です。しかし、株式市場に投資されているのはそのうちのわずか15%ほどであると言われています。日本市場の売買の6割は外国人が占めているのです。このままでは、日本の個人の株式投資マインドの欠如が日本企業の衰退を招く原因となりかねません。老婆心ながら憂慮してしまいます。 |
2007.04/15 日経平均採用銘柄のうち、 昨年6月1日時点における配当利回りTOP10銘柄に対して行った投資の結果 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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同期間の日経平均の上昇率12.8%に対し、40.7%の増加という予想以上の結果となりました。 ある程度、望みのある投資方法だと考えていいのではないでしょうか。 |
2007.04/08 配当利回りに注目した投資方法(負け犬ポートフォリオ)のご紹介 | |
先日、日経CNBCの番組で、インベスター・ネットワークのIRコンサルタントであるダレル・ウィッテンが、Dog of the Dow(和名『負け犬ポートフォリオ』)という、たいへん興味深い投資方法を紹介していました。NYダウ30銘柄の中から配当利回りの高いTOP10銘柄に1年間投資し、1年後に見直した後、再びTOP10銘柄に投資するというシンプルな方法です。 日本では長年、株主軽視と内部留保重視のために配当利回りはあまり注目されてきませんでした。しかし近頃、M&A対策の必要性からか株主が重視され始め、高配当政策がとられるようになったため、日本でもこの方法が有効になりつつあるというのです。ここ10年間の日経平均の年平均上昇率が3.7%であるのに対し、この負け犬ポートフォリオでは年平均11.5%のリターンがあるそうです。 当方でも早速調査研究にあたり、3月決算の発表が出揃う5月末頃に、高配当利回りTOP10を掲載したいと思います。 |
2007.04/04 今期(08年3月期)の全業種の経常利益伸び率予想値は12.0% | |
日経新聞では、今期の経常利益伸び率は12%(前期は6.7%)になると予想されています。 今期の経常益に2桁の伸びを見込む業種は、 1.電気(20%超) 2.精密(15%超) 3.機械(10%超) 4.医薬品(15%) であり、逆に伸びの低下が予想されるのは、 5.商社 6.鉄鋼 7.非鉄 なのだそうです。 今期は前期と主役が異なっており、輸出に強い国際優良株が活躍することになりそうです。 |
2007.04/03 3月の世界同時株安の犯人は新BIS規制? | |
BIS規制と呼ばれる、銀行の自己資本規制の国際的ルールに、見直し(バーゼルIIと呼ばれています)がかかっているようです。この新たな規制が、金融機関によるヘッジファンドへの投資において大きな足かせとなっています。 日本でも地方の金融機関では、実際にヘッジファンド資産への投資を引き上げ始めた例が多くあるようです。2007年3月の決算から、ヘッジファンドに対するリスク掛け目を異常なまでに高く(ファンド資産の内容が明らかでないものに関しては、最大1250%)設定しなければならなくなったことから、自己資本比率に及ぶ影響が懸念されているのです。 今後は、世界の金融機関でも、ヘッジファンドへの投資から資金を引き上げる動きが起きるのではないかと推測されます。市場全体の取引量における減少傾向の有無などから、一過性のものなのかそうでないのか、慎重に見極めていく必要がありそうです。 |
2007.03/23 着実に進む、貯蓄から投資への流れ | |
日銀が23日に発表した2006年末の資金循環統計(速報)によれば、家計が保有する金融資産の残高は、1540兆8478億円と過去最高になりました(日経新聞より)。前年末より1%増え、金融資産に占める現預金の割合が下がった一方、国際や投資信託が過去最高になるなど資金流入が目立ち、貯蓄から投資への流れが着実に進んでいることを示しています。 同新聞によると、景気回復を受けて、家計の金融資産残高は2003年から増加を続けているそうです。全金融資産のうち、現預金は778兆6183億円と前年末に比べ0.5%減り、全体に占める割合は50.5%で、2002年移行は減少を続けています。現預金のうち郵便貯金は190兆円で、これは前年に比べ6.5%の減少となっています。 |
2007.03/03 ROEを重視する機関投資家 | |
2月28日の日経新聞によれば、「企業年金連合会は、3年連続でROE(株主資本利益率)が8%以下に留まる企業の取締役の再任に対し、株主総会で反対票を投じる方針を決めた」そうです。長期投資を旨とする機関投資家は、投資の判断材料としてROEの高さを重視している、ということがうかがえる記事です。 成熟した市場においては、低ROEの銘柄には腰の入った機関投資家の買いは無いものと考えておかなければなりません。個人投資家も、この点に留意する必要があるのではないでしょうか。 |
2007.02/25 安心12銘柄の中で、第三四半期決算発表により通期業績予想に変化が見られた銘柄 | ||||||||||||||||||||||||||
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2007.01/08 安心12銘柄の昨年の成績は? | |
安心12銘柄の昨年の平均上昇率は22.2%でした。日経平均の上昇率6.3%と比較しても、満足するに足りる結果です。日経平均採用銘柄の平均ROEが8%であり、安心12銘柄の平均ROEが13.0%であることを考えると、多少上げすぎの感さえあります。 個別に見ると、ROEが低くPBRが大きい銘柄の上昇率は限定的です。幸い、昨年の実績は、当コラムで述べた銘柄選定基準の正しさを概ね裏付けてくれたようです。 会社四季報の予想増益率を前提として考えると、今年も ・トヨタ自動車 ・本田技研工業 ・キヤノン ・リコー ・東京エレクトロ 等が比較的割安で、上昇を期待することができそうです。 |
コード | 銘柄 | ROE | 昨年1月4日 | 今年1月4日 | 株式 分割 | 値上率 | 1株純資産 | PBR |
3382 | 7―iHD | 5.5% | 5350 | 3850 | 1.0 | -28% | 1772 | 3.0 |
4063 | 信越化学工業 | 12.2% | 6500 | 8040 | 1.0 | 24% | 2731 | 2.4 |
4452 | 花王 | 14.0% | 3180 | 3260 | 1.0 | 3% | 935 | 3.4 |
4502 | 武田薬品工業 | 13.3% | 6480 | 8180 | 1.0 | 26% | 2653 | 2.4 |
6857 | アドバンテスト | 16.0% | 12090 | 6830 | 2.0 | 13% | 2764 | 4.4 |
7203 | トヨタ自動車 | 13.0% | 6130 | 8110 | 1.0 | 32% | 3258 | 1.9 |
7267 | 本田技研工業 | 14.5% | 6830 | 4760 | 2.0 | 39% | 4519 | 1.5 |
7269 | スズキ | 10.7% | 2225 | 3400 | 1.0 | 53% | 1397 | 1.6 |
7733 | オリンパス光学 | 9.8% | 3150 | 3780 | 1.0 | 20% | 1074 | 2.9 |
7751 | キヤノン | 14.7% | 7050 | 6740 | 1.5 | 43% | 2935 | 2.4 |
7752 | リコー | 10.1% | 2090 | 2465 | 1.0 | 18% | 1316 | 1.6 |
8035 | 東京エレクトロ | 12.6% | 7480 | 9240 | 1.0 | 24% | 2112 | 3.5 |
平均 | 13.0% | |||||||
2007.01/01 2007年の相場に影響を与える材料は? | |
期待できる強気材料 ・外国企業の日本子会社を通じての株式交換によるM&A解禁 ・団塊世代定年退職資金の投資信託等を通じた株式市場流入 ・世界経済の4%成長と日本企業の利益の2桁の伸び 懸念される弱気材料 ・日銀の利上げと円高 ・中東情勢緊迫などによる原油高 ・北朝鮮の再核実験 ・参議院選挙後の政局波乱 ・中国など新興市場の急落 |
2006.11/12 分散投資のすすめ | |
前回、長期投資の考慮点として、「業種の異なる3社以上に分散して投資することが重要」だと述べました。今回は分散投資について考えてみたいと思います。 そもそも、なぜ分散投資が必要なのでしょうか。それはもちろん、リスクを最小化するためです。投資シナリオの効果をより確実なものにするため、相互に影響しない銘柄に分散して投資することは必要不可欠なのです。 分散投資の有効性は、ポートフォリオ理論としてノーベル賞学者ウイリアム・シャープによって確立されました。近年開発された、インデックスファンドや日経平均連動型ETFなどへの投資が素人にとって最適ポートフォリオになるという考えは、この理論を根拠にしたものであると思われます。 しかし、そもそも金融資産を株だけに振り分けることは、リスク分散の理念に反しています。同様の意味で、金融資産を全て預金で持つことも、リスク分散の理念に反していると言えます。預金は元本保証なのでリスクは無いと考えられがちですが、インフレに弱いことは歴史が証明しています。1500兆円といわれる個人金融資産の5割が預金であるという事実は、日本人の投資に関する知識がいかに欠如しているかを示す証左だと言えましょう。 それでは、金融資産はどのように分散させるのがベターなのでしょうか。まず、相互に影響しないという意味で、株と債権に分散するのが一般的です。最近では、株式市場とは異なる動きをする商品市場や不動産債権などに投資する、オルタナティブ投資と呼ばれる金融商品も分散投資に利用されています。 さらに、それらの金融商品を、円・ドル・ユーロなど異なる通過に分散して投資することが望まれます。現在、地方もあわせ1000兆円ともいわれる日本政府の債務の際限の無い増加を考えると、近い将来、超円安と超インフレが起こらないとは言い切れません。金融資産を円建てのみで保有することは、やはりリスク分散の理念に反しているのです。 投資の結果は、アセットアロケーション(金融資産をどう分散するかを事前に決定すること)の時点で80%決まるといわれています。つまり、売買のタイミングに依存する部分は実際には20%程度ということになります。「何にどれだけの割合を投資するか、事前に考えておく」ということが、投資家にとっての最重要課題だと言っても、過言ではありません。 |
2006.11/05 長期投資には、どういった銘柄を選べばいいのか? ……その2 | |
前回、投資のタイミングは「PBRが2倍に接近したタイミングがベスト」だと述べましたが、それはROEが14%程度の銘柄に限った話です。 ROEが高ければ、当然、買いのベストタイミングのPBRも2倍以上になって然るべきです。 買いのベストタイミングを示すPBRの目安値は、ROEによって以下のように変化します。 ・ROEが18%程度の銘柄の場合……PBRが3倍以下になったとき ・ROEが22%程度の銘柄の場合……PBRが4倍以下になったとき ・ROEが30%程度の銘柄の場合……PBRが8倍以下になったとき ・ROEが40%程度の銘柄の場合……PBRが16倍以下になったとき この場合、ROEには現在の値ではなく、過去5年間ほどの平均値を当てはめたほうがよいと思われます。というのも、上記の目安は今後10年の平均ROEとしての試算だからです。この条件が満たされれば、株価は10年後、1.5倍から6倍になる計算になります。 しかし、過去5年のROEの平均がそうであったからといって、必ずしもこの先同じような状態が続くとは限りません。そこで、さらに追加すべき条件として、 ・過去、安定して高いROEを維持してきた(ばらつきが少ない) ・ROEが安定している理由が明確で、今後も長期的に持続される可能性がある ・グローバルな市場で評価されている、または、評価が期待できる ・国内市場でのみ評価されている場合でも、今後10年間成長する余地がある などが挙げられます。 さらに、条件に合致した銘柄の中から、業種の異なる3社以上に分散して投資することが重要です。 |
2006.10/15 長期投資には、どういった銘柄を選べばいいのか? ……その1 | |
前回、10年後の株価を予測する上でのROE(株主資本利益率)の重要性に触れた際、株価は株主資本にプレミアムが加算されたものだ、と述べました。今回は、プレミアムの方に焦点を当てて考えてみたいと思います。 株価におけるプレミアムの割合はどの位でしょうか? これを測る指標として、PBR(株価純資産倍率=株価が一株あたりの株主資本の何倍かを表す)があります。大型優良銘柄の場合、大雑把に言って、人気がなければ2倍、人気が加熱すれば4倍くらいになるでしょうか。要するに、株価はほとんどプレミアム次第と言っても過言ではないのです。それなら株価の理論的計算など何の意味もないと思われがちですが、あながちそうとも限りません。 10年という期間で考えると、株主資本の増加率が2倍未満の銘柄においてはプレミアムの変化率のほうが大きく、予測にはほとんど意味がありません。しかし、増加率が2倍以上であれば株主資本の増加率が勝り、現在より確実に高くなります。増加率が3倍ともなれば、10年後の株価は1.5倍から6倍になると予測できます。 10年後の株主資本の増加率3倍を年率に直すと12%となり、これをROEに換算すると、配当率を2%とした場合、14%になります。 すなわち、今後10年間の平均ROEが14%以上である銘柄が、長期投資対象銘柄として意味があるということになります。そんな銘柄があれば教えてほしいという声が聞こえてきそうですが、そう、株式投資とはそういった銘柄を探すゲームなのです。そして、投資のタイミングは、PBRが2倍に接近した頃合がベストということになります。 |
2006.10/10 NYSEのダウ平均は史上最高値を更新したのに、 なぜ日経平均は4月高値さえ更新できないのか? | |
答えはダウ平均に採用されている企業のROE(株主資本利益率)の差にあります。日経平均に採用されている225社のROE平均は現在約8%ですが、NYダウに採用されている30社のROE平均は約18%です。この差が、例えば10年後にどの程度の差になるかは計算により求めることができます。 企業の基本的な価値は株主資本である、と考えると、株価は株主資本にプレミアムが加算されたものである、と考えることができます。すなわち、将来の株価を予測するには、将来の株主資本を予測することが不可欠です。将来の株主資本は、現在の株主資本に毎年の利益の内部留保分加えることで大まかに予想することができます。内部留保額は利益から配当を引いたものととらえられるため、内部留保率=ROE-配当率と置き換え、配当率を日本企業2%、NYSE5%と仮定し、プレミアム率が10年後も同じであると考えると、 10年後の日経ダウ平均=(1+0.06)^10=1.8倍 10年後のNYダウ平均=(1+0.13)^10=3.4倍 となります。これを見れば、日本企業のROEの低迷が続けば日経平均の低迷も続く、と容易に理解することができます。 ところで、日米のROEの差は何に起因するのでしょうか。ここ数年、米国企業はITを初めとするホワイトカラーの仕事を中国やインドにシフトさせており、好景気時に人件費が上がらなくなったと言われています。このオフショアリングが米国のROEに与えた影響は大きいものと思われます。また、企業のグローバル化の成果(海外での高収益)における差も無視できません。年金基金など長期投資資金が増えている現状から考えても、これらの差を埋めなければ日本市場への外国人投資が大きく増えることは期待できないと言えましょう。ROEが10%未満の企業は、長期投資の対象として不適と言い切っていいものと思われます。 |